「台風」の定義、風の渦が左巻の理由、日本付近で進路が右に曲がる不思議についてまとめました。
日本は毎年6月頃から9月の終わりにかけて、時々10月の半ばにも台風に大変悩まされます。
そして大きな被害をもたらします。
この季節になるとテレビやラジオの天気予報は詳しく進路予報をしています。
毎年のことですが、台風について色々な疑問が沸いてきます。
そしてあまり詳しく知られていなようにも思います。
予め基本的な事柄を知っていると、天気予報の内容もよく理解できるようになると思います。
■台風とはどのようなものか?
気象庁が定めています。
1. 台風は、地球の赤道よりも北半球側の太平洋上で生まれます。
この場所は海水温の高い場所です。
このようにして生まれた台風の卵を熱帯低気圧といいます。
2. そして空気の回転すると風が発生します。
この風の最大風速が10分間の平均で17.2m/秒以上になったものを台風を呼ぶことに決まっています。
これは日本の気象庁が過去のデータから決めたものです。
■台風の発生原理と渦の向き
1. 熱帯の地域では海水が太陽の熱で加熱されます。
すると、大量の水蒸気が海水から蒸発します。
水蒸気は上空で冷やされて細かい水滴に変わり雲になります。
次第に水分を大量に含んだ巨大な雲の集まりに成長します。
2. この雲のかたまりは次第に大きく重くなります。このように雲を含んだ空気は地球の引力で強く引っ張られます。
3. 地球は自転しています。
空気と雲は地球の回転で動き始めます。
この時空気と雲の塊は地球の回転のスピードについていけないので回転する力にかわります。
この関係が続くので、次第に回転速度が早くなっていきます
雲と風の回る方向は左周りになります。(時計の針と逆)
図参照1
このイメージは子供たちがコマ回しをするのと同じ原理です。
コマが雲の塊や空気で、紐が地球の引力で、引っ張る力が地球の自転の力です。紐から離れたコマは回り続けます。
コマは紐から解き放たれれますが、台風は地球の引力と自転が連続して続きます。
この力が持続するのでどんどん早く回転をするようになります。
海水の温度が高い海水から水蒸気がどんどん発生するので勢力は巨大化して行きます。
海水温が27℃以上の海上に台風があると、強力に成長し続けます。
台風を決める尺度は、気圧の低さや台風の大きさではありません。
例えば、熱帯の場所で中心の気圧が1000hpa(ヘクトパスカル)でも最大風速が10分間の平均で17.2メートル(17.2m/秒)以上あれば台風といいます。
これ以下では熱帯低気圧のままです。
台風が北上したあと「温帯低気圧になった」と天気予報で気象予報士は説明します。
この状態は温帯の場所で台風の10分間の平均風速が17.2m/秒以下になったことを意味しています。
しかし温帯低気圧になったから勢力が弱くなったと考えるのは危険です。
あくまでも10分間の平均風速が17.2m/秒以下になっただけであって、突風の瞬間の風速が25m/秒などが発生することはよくあることです。
したがって台風の時よりも強い風が吹くこともあります。
■台風の動き
熱帯低気圧や台風は空気の渦であるため、自力では移動出来ません。移動には外からの力が必要です。
図参照2
この力が偏東風です。赤道付近には地球の自転方向と逆向きの偏東風が吹いています。
この影響を受けて中国大陸の方向に移動します。
しかも低気圧なので張り出している高気圧の大気の中には入り込めません。したがって高気圧の周辺を移動することになります。
偏東風の影響を受け続けて次第に移動が速くなって行きます。
このような動きがしばらく継続すると、次に中国大陸から日本の方向に吹いている偏西風と大陸の高気圧の影響を受けるようになります。
大陸の高気圧で今まで進んで来た方向を阻まれ、この偏西風の影響が大きいほど台風は急に方向を変化させ移動します。
そして偏西風の影響が出始める地域では海水温が低くなってくるので勢力の発達がなくなり、持っている力を消費することになります。
偏西風の速度が速いほど台風の速度が速くなり早く北上して勢力が弱まり温帯低気圧になります。
この現象が「日本に沿ってなぜ曲がるんだろう?」の答えです。
■まとめ
(1)熱帯低気圧の内、風速が10分間の平均で17.2m/秒以上の勢力のものを「台風」と気象庁が定めています。
(2)台風の風の向きが左回りであるのは地球の自転によるものです。
(3)台風の動きは赤道付近の偏東風、太平洋上の張り出し高気圧、大陸性高気圧と偏西風に影響され、移動の方向が決まります。
最近の台風は勢力が大きく、ゲリラ化しています。この結果、大きな被害をもたらします。
気象情報に注意を払って身の安全の確保に注意を払いましょう。