- このテーマに関する速報です。
- ■本田・藤島効果の解説
- ■使用する材料
- ■触媒とは何?
- ■この効果が応用されているもの
- ■本田・藤島効果の発展形
- この効果は酸化チタンが紫外線を受けて触媒効果が発生するので水分がなくても有機物質が酸化チタンの表面に直接付着していれば分解が促進されます。
- イメージ図に示した中で水を汚れなどの有機物(燃えるもの)と考えて、直接酸化チタン表面に付着している状態を考えて、白金や導線がない状態をイメージするとよく分かります。
- 有機物が燃える状態は高温にさらされた状態が発生した時にのみこれが燃焼が始まります。
- しかし、酸化チタン表面ではこの高温状態に晒された有機物が燃える状態を、室温で紫外線を受けただけで燃やすくする(分解)力が発生出来るのです。
- 有機化学の分野では触媒効果を利用して色々な物質を作り出すことがよく行われています。しかし触媒は万能な効果を全ての物質に対して発揮するものではなくてある特定な場合飲みにしか発揮できません。
- これが触媒の特異な性質です。
このテーマに関する速報です。
光触媒の発見者である藤島昭東大栄誉教授とその研究・開発グループは、8月末に「中国上海理工大学」に移籍されました。
このグループは自らが育成した研究チームとのことです。
この技術は、今・これから脱炭素社会の立役者になろうとするものです。
「水素」を自然エネルギーの太陽光と地球に無尽蔵に存在する「水」から酸化チタンなどの触媒によって容易に製造することが可能な技術でです。
既に日本の国内でも水素の製造に関して研究がかなり進んでいますが、この技術の根幹が中国に引き抜かれたとはなんとも残念なことです。
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「卓越した研究」として光触媒反応を取り上げて紹介します。
この現象の発見は日本人独自の研究から生まれたもので、色々な方面に応用されて現在の私たちの生活に役だっています。
光触媒反応は発見者の名前を冠せて、本田・藤島効果と呼ばれています。
本田・藤島効果は、1967年(昭和42年)、当時東京大学の教官であった本田健一先生(教授)と大学院生だった藤島昭さん(後に教授→退官後は東京理科大栄誉教授)が発見した化学反応です。
この発見は1972年に科学誌『ネイチャー』に発表されました。
■本田・藤島効果の解説
この効果は、太陽光線が持っているエネルギーを化学的なエネルギーに変える現象です。
この反応は、酸化チタンという物質と金属である白金を導線でつなぎ、この双方を水中(電気が通りやすく処理をした水)に浸します。
次に酸化チタンの表面だけに太陽光線を当てると、酸化チタンと白金の間に直流の電気が流れます。
同時に水が分解されて、酸化チタンの表面から酸素が、白金の表面から水素が発生してきます。
この現象を光触媒反応といい、この現象は本田・藤島効果と呼ばれています。
この現象を解説します。
このような反応を起こすのは太陽光線に含まれる紫外線です。
酸化チタン表面に紫外線が当たると化学反応が生し、その結果電気が流れます。この電気で水が電気分解されて酸素と水素が発生します。
このような現象を発生させる酸化チタンは半導体としての役割を果たしています。
■使用する材料
酸化チタンは数種類の性質の異なるものが存在します。
大別すると、結晶構造の違いからルチルとアナタース型です。
ルチル型の酸化チタンは白色度の強い粉末として、私たちの生活に身近な色々な目的に使われています。
例えば、赤ちゃんの汗疹を防ぐ「てんかふん」、女性の化粧品(ドーランも含む)、白色の塗料(ペンキ)、印刷インキなどです。
しかし、光触媒反応に適した酸化チタンは別の種類のアナタース型のものです。粉末にすると少し青白い感じで、白さは劣ります。
光触媒反応に使用するためには粉末では不適です。したがって、
単結晶化した硬いガラスのような形状のもにします。そして電気が通り易くする処理をする必要があります。
この単結晶化アナタースチタンは、非常に硬く、透明で光の屈折率が高いのでダイヤモンドカッターで切り出して装飾品に多く使われています。
■触媒とは何?
この原理はテレビの番組や成書などで度々解説がなされていますが、なかなか理解しにくいものです。
触媒とは、簡単に表現すれば、化学反応が起こりにくい物質同士を「何か」の作用で容易に起こしてしまい目的の生成物を作り出すことが出来るもののことを言います。
この「何か」が触媒なのです。触媒は万能ではなくてある化学反応だけに有効に働きます。
触媒はその目的に応じてトライアンドエラーを繰り返しながら見つけ出すことが必要です。
しかし「本田・藤島効果」は他の研究を進めている時に、偶然に発見されたものです。
触媒の種類や理論は複雑ですのでここでは省略します。
■この効果が応用されているもの
水を浄化する:アミン類、アンモニアなどの分解除去、
空気の浄化をする:シックハウス原因成分や悪臭を分解してきれいにする、
土壌の有害な有機物の浄化をする:ダイオキシンの分解処理など、
雑菌やカビの繁殖を防止する:病院内や器物表面の抗菌化、穀類・果物の長期保存、
曇り止め:曇りの原因である水分の付着をなくす、自動車のミラーの汚れ防止、
セルフクリーニング:建物の外壁やビルのガラス表面の汚れ防止、
クリーンエネルギーとしての水素を水から効率的に取り出す実用化
などの身近な生活に重要なものに多く応用されてきています。
■本田・藤島効果の発展形
この効果は酸化チタンが紫外線を受けて触媒効果が発生するので水分がなくても有機物質が酸化チタンの表面に直接付着していれば分解が促進されます。
イメージ図に示した中で水を汚れなどの有機物(燃えるもの)と考えて、直接酸化チタン表面に付着している状態を考えて、白金や導線がない状態をイメージするとよく分かります。
有機物が燃える状態は高温にさらされた状態が発生した時にのみこれが燃焼が始まります。
しかし、酸化チタン表面ではこの高温状態に晒された有機物が燃える状態を、室温で紫外線を受けただけで燃やすくする(分解)力が発生出来るのです。
有機化学の分野では触媒効果を利用して色々な物質を作り出すことがよく行われています。しかし触媒は万能な効果を全ての物質に対して発揮するものではなくてある特定な場合飲みにしか発揮できません。
これが触媒の特異な性質です。
■まとめ
「本田・藤島効果」の利用・応用分野は上述したように、私たちの生活に直結しているものが多いのが特徴です。
しかしこれに留まらず数多くのアイデアが出されており、これからも人類発展に大きく貢献していく発見であると考えています。
■あとがき
(1)この研究で発生するガスは水素と酸素ですが、混合ガスとして発生してきます。水素ガスの実用化にあたっては分離する事が必要です。
この分離技術は日本の某企業でゼオライトという材料を使ってほぼ確立されている状態です。無公害の夢の燃料として使われる事が間近です。
(2)この発見はガスの発生だけではなくて、太陽光線を利用して、ビルやカラスの汚れを自然に除去する塗料や水滴が付いても曇らない鏡、自動車のフロントガラスなど色々な分野に応用されています。
これからも多方面に応用されていく素晴らしい発見です。