日本の平均寿命は世界1位、この実態は？そして世界は？

2020年のW H O 調査で日本の平均寿命は世界１位、（男女平均）になりました。

現在（2021年）日本の男女合せた平均寿命は84.2歳だそうです。

50年以上前（1970年）の平均寿命は、G7（*）の中で最も短命な国であったと、日本の国立健康・栄養研究所が報告しています。

（*）G7とは、現在はフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ、の7ヶ国です。（1970年はG6 でした。カナダは1971年以後加入）

それから50年後の今、世界一の長寿国になったとは驚きです。

このことは、日本が高度に経済成長を遂げてきた中で、国民の衣・食・住の生活環境が大きく変化したことによります。

加えて、医療と薬の恩恵が大きくかかわっています。これは国民健康保険制度によるものです。

食生活の変化は欧米系の食品、特に牛乳やチーズなどの乳製品や発酵食品、肉類を取り入れるようになったことで、虚血性心疾患（注1）や脳血管疾患（脳出血・脳梗塞）などによる死亡率が下がり、結果寿命が延びたと考えられているようです。

虚血性心疾患とは、冠動脈が狭くなったり、閉塞したりすることで血流障害を起こす病気です。冠動脈は心臓の筋肉に酸素や栄養を送り込むはたらきをしています。虚血性心疾患は高血圧や糖尿病、肥満などにより冠動脈が動脈硬化を起こすことを原因として発症します。

加えて、国民健康保険制度が行き届いていることから、薬による体調維持の貢献が大きいと、順天堂大学の天野篤教授も著書の中で述べています。

住宅の改善は戦後強く提唱・実行され、台所の衛生向上改善、水質、女性の荷重労働からの解放が促進されて現在のようなユニット式キッチンスタイルになってきました。また洗濯、炊飯、掃除、食品保存など家電製品の貢献による労働の軽減化がなされました。

また家屋では、食事の場所と寝室が完全に区分され衛生の確保がなされ、畳に座る生活からテーブルと椅子の生活が定番化しました。

これらの要素によって日本人の体形（スタイル）が細身になり、身長が伸びて、体格の大型化にも大きく影響を及ぼしました。

住宅の改善・食生活の欧米食化・医療や薬がもたらす効果の良い方向（表面）だけでなく、反対の方向を無視してはいけないことも言われています。

元気な高齢者が多い中で、寝たきり・植物人間などの介護を必要とする人の多発と、医と薬に頼る高齢者の多いことです。

本当に平均寿命世界1位はめでたいことでしょうか。長寿が健康のバロメータなのでしょうか。

私は思います。作家・佐藤愛子さんのベストセラー『九十歳。何がめでたい』、同感です。あなたはいかがですか？

スイス公共放送協会の国際部が2016年に発表した記事によれば、長生きする国民が多い秘けつは「裕福さ」「幸福度」、そして乳製品をよく食べる「食生活」にあるとアナウンスしています。

また、国連が2020年の公表によれば、スイスは幸福度ランキングで3位に入っています。

2019年にブルームバーグが公表した「健康な国」指数では1位に輝くなど、長寿国としての地位を確立しています。

ニューズウィークの2019年の記事によれば、スペインは日本と同じ国民皆保険制度を運用しており、国内で暮らす人は誰でも無料で救急医療やプライマリーケアを受けられるなど、医療体制が充実。また移民にも病院を受診する権利を保証するなど、手厚い支援を行っています。

2020年版の世界保健統計によると、平均寿命が80歳を超えている国は28カ国。ランキング上位はヨーロッパの国が多く、アジアでは日本の他、シンガポールと韓国が上位にランクインしている。

男女別では、男性はスイスが81.2歳、女性は日本が87.1歳でそれぞれ1位となっている。

日本の女性は2位のフランスに1歳以上の差をつけている。日本の男性は81.1歳で2位。

平均寿命が最も短い国は52.9歳。

世界全体の平均寿命は72.0歳。そのうち男性が69.8歳、女性が74.2歳となっており、女性の方が寿命が長い。

本統計はWHO加盟国194の国と地域を対象としている。

下表は平均寿命が長い順であるが、独断で主要国のみを抽出した。

出典：WHO 世界保健統計2020年版に掲載されている平均寿命統計より。